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荒鷲死す
―戦力分散がいけなかったんだ・・・そうでなかったらこんな事態は避けられたはずだ―
ある一人の海軍将校が嘆いていた。空を見るなり嘆くばかりだ。しかし少佐が彼を落ち着かせようとする。
―大丈夫だ、まだ終わったわけじゃ無い。撃たれたとて、矢野大尉は帰って来ている―
そして、飛行場に一台の紫電改が帰って来た。真っ先に救急車が紫電改に向かう。
―‼・・・きっと、助かってはいないんだ、戻って来たとしても既に・・・―
―そんな事思うな‼彼は部下に飛行機は必ず返すと約束したんだぞ―
しかし、将校の不安は現実となる。
真っ先に飛行機から大尉を降ろしたが、既に大尉は息絶えていた。大尉の死に泣き叫ぶ部下達、そしてもう一人の少佐が大尉戦死の報告に向かった。
―司令、矢野大尉は戦死です・・・‼―
それを聞いた瞬間、将校は膝を着いて凍ったかのような表情になり、まるで人形の様に動かなくなってしまった。
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