序章

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「行ってきます」 元気に玄関のドアを開け、朝の空気を大きく吸い込む。 ボブヘアーが似合うこの少女は坂吹 碧16歳。 私立杜若学園という名門女子校に通う高校1年生だ。 家の門扉を開けると、隣の家の住人である北條家の奥さんがゴミ出しをしていた。 「おはようございます」 元気にミドリは笑顔で挨拶をする。 「あら、おはようミドリちゃん。相変わらず元気でなによりだわ」 「元気だけが取り柄ですから~☆ あの…。葵ちゃんは?元気にしてるんですか?」 ちらりと北條家の2階の窓を見上げる。 「うん…。元気は元気なのかしら?でも相変わらず部屋からは出てこなくて…」 少し悲しそうな顔をするおばさんにミドリは笑顔を向けた。 「また遊ぼって伝えて下さい。じゃ。行ってきます」 「ありがとう。行ってらっしゃい」 おばさんにぺこりと会釈をしてミドリは通学路を歩き出した。 隣の北條家にはミドリの3つ年上の葵という娘がいる。 昔から家が隣同士で仲が良く家族ぐるみの交流があったため、ミドリもよく葵に遊んでもらっていた。
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