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「うん。」
藤代さんは照れたような満足したような顔をして、わたしの手を繋いだ。
春の陽射しと桜の香りに包まれて、藤代さんの隣りにわたしがいる。
生きてるって、幸せだと思うことの何倍も辛いことがある…。
本気で誰かを好きになったら、辛いことはもっと増える。
でもそれって…。
ほんとに大事なものを離さないで大事に出来るように神様が与えてくれる試練だから。
それを越えることが出来る人だけが、見ることの出来る景色があるよね。
たぶん今見ているのは、藤代さんとわたしだけに見える一枚目の景色。
これからも、まだまだ大変なことってあると思う。
でも、二人ならもう大丈夫だよね。
こうやって手を繋いで越えていける。
そして、二人で見る新しい景色を何枚にも増やしていける。
宿命の人…。
運命の恋…。
そう。
あなたを信じているよ。
―end―
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