179人が本棚に入れています
本棚に追加
万全を期した状態で行くべきだ、というフェイズの一言で、結局城を出るのは一週間先に伸びることとなった。
そして魔王が昼寝をする時間を見計らって、フェイズはディールの元にいた。
「で、貴方は一体何を考えているのですか?ディール」
「別にぃー」
いつもは眼帯で覆っている右目も、フェイズの前では外しているらしく、寝そべっているベットの枕元に無造作に放ってあった。
眼帯をしていない、といってもディールのその右目は長い前髪に隠れてうかがえない
しかし、それには何の気も止めていないのか、フェイズは勘繰るような目でじっとディールを見つめた
「あー分かった!言うから!!//」
「初めから素直に言えばいいのです」
じっと見つめられるのを苦手を知った上での行為にあっさりディールは折れた。
「だってよー前は城から出られなかった訳だし、今度ぐらいは外を見せてやりてーのさ」
「それは…」
一瞬見せたディールの本当の顔に、フェイズも「私も同じです」と呟いた。
何も、魔王を一生城に閉じ込めておくつもりなど、フェイズは微塵も思っていない
むしろ、ディールと同じように城からではなく、直接下界を見せてやりたい、という気持ちは山々だった。
しかし、それらは「魔王」の身を案じるからこそ、今まで城から出すことはなかったのだ
「それに約束もあっからな」
「……えぇ」
最初のコメントを投稿しよう!