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「…先程申し上げた通り、今月だけで、もう19人もの同士がやられました」
「まるでバケモンだなそいつwww」
「ディール、魔王様の前で失礼ですよ」
「さーせん」
「ふむ……」
大きな部屋の一室にその三人はいた。
蝋燭の灯る、豪華なシャンデリアのみを見れば、どこぞの国の広間のようにも見えなくはないが、それ以外の装飾は、ほぼ黒で統一されており、いかにも怪しい雰囲気を醸し出していた。
そしてその周りの装飾に合わせたような、黒い椅子に『魔王』は座っていた。
その椅子は一見、シンプルにも見えるが、細かい装飾が、それが高価なものであることを主張している。
深紅の瞳と、同じく鮮やかな髪。
邪魔だからなのか、その長い髪は後ろで一つに三つ編みにされている。
そして左頬の印は、彼が魔族であることを表していた。
「わかった。下がってよいぞ、フェイズ」
魔王がそう言うと、フェイズと呼ばれた藍色の髪の男は、軽く頭を下げて出て行った。
「じゃっまおーサマ、俺もこの辺で失礼しまーす」
先程、フェイズに叱咤されていた、右目を隠した翡翠色の長い髪のディールが軽くそう言うと、その軽口を気にしていないのか、マオは、「ん」 と頷き、やがてその部屋には魔王一人だけが残された。
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