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―――痛くない。
ぼくはその事実を頭で認識してから、ゆっくり目を開けた。
「………そろそろ、退けろよ」
「!」
それと同時に、ぼくの下から、声がした。
あ、と声をあげてから、いそいそと身体を退ける。
下には、ぼくの下敷きになる形で、男が寝そべっていた。
「……いきなり何なんだよおまえ……。ヒトの部屋ん中に落ちてきやがって……」
男はいてて、と言いながらそのひどいクマのある目で、ぼくをにらみつける。
まあ気にならなかったので、ぼくは部屋の中をキョロキョロとあたりを見渡した。
そこは、周りには何台かのパソコンと、パソコンラックやゲーム機、テレビがあるだけの殺風景な部屋の中だった。
そして真上には、ぽっかりと、穴が空いている。
「……穴……」
「おまえが落ちてきた穴だぞ」
「落ちてきた――………ああ、そういえば」
ぼくは頷く。
先程、鳩さんを爆発させてしまい、再び飛び降り自殺したことは、まだ記憶に新しい。
「一人で納得してんじゃねーよコラ」
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