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思考も下向きに沈み、次第に視線も下がっていく。
ぼんやりと自分の足元を見ていると、遠くからパタパタと足音が聞こえてきた。
「C・スケルトンさーん!」
足音が止まると同時に声を掛けられて顔を上げると、目の前にC・スライムがいた。
急いできたのか、その頬は紅潮して額は汗で光っていた。
「えへへ、この暑さでちょっとバテちゃいました」
「…どうした」
「あっはい!ご主人様が今タワー祭真っ最中なので僕等は主力から外れて良いって仰ってました」
「そうか」
「タワーの警護も今は充分だそうで、暇を頂いちゃいました」
久しぶりにのんびりできますっ。
そう屈託なく顔を綻ばせるスライムが俺には眩しく見えた。
「僕、故郷に行って散歩しようかと思っているんですけど、スケルトンさんとウィスプさんも一緒に行きませんか?」
「私は仲間達に顔合わせしないといけないから遠慮しておくよ。…ああ、スケルトンは行きたいそうだから仲良く行ってくると良い」
「おいウィスプ、俺は何も…」
言い終える前に、ぎゅっと手を繋がれた。
にっこり、そんな擬態語が付くような満面の笑顔が横にある。
「じゃあ行きましょう」
スライムの手を振り払う事など出来なかった。
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