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進化合成2
―今この時間が幸せだった。
毎日がみんな居て楽しくて。
本当に幸せだった。
「いよいよか」
「そうだね」
魔法陣を囲む集団から少し離れた場所で、C・スケルトンウォーリアとC・ウィル・オ・ウィスプは様子を窺っていた。
彼らの主である召喚士は、『タワー祭に勝つ毎に1体のモンスターを召喚する』と決めている。
そして今回も勝利を収めたので、新たなモンスターを召喚しているのだ。
魔法陣に光が満ちて、ぽっ、と浮かんだ光の玉がみるみるうちに姿を変えていく。
やがて形になって、眩い光の中から二人は目を細めて新入りを見た。
―バサッ、という音と共に舞う白い羽。
高い長身と同じ位ある長弓。
シャープな輪郭に、綺麗にはめ込まれたパーツ。
そして。
…緩く結われた、くすんだゴールドヘアー。
その新入りに、ウィスプは目を奪われた。
「やあ初めまして!…なんて、ちょっと堅苦しいかな?」
新入りは片手を軽くあげて皆に向けて笑った。
爽やかな笑顔に子供達が一斉に駆け寄り質問し始めた。
「名前は?」
「持ってるそれ、なぁに?」
「お前強いのかっ?!」
質問攻めにも関わらず、クスッと顎に手を添えて答える。
「順番に答えるなら。ボクの名前はC・ペガサス。次にこの武器は長弓といって遠距離攻撃出来るんだ。そしてボクはね………」
―………結構強いよ?
ペガサスは得意げに片方の口角だけを引き上げてウィンクしてみせた。
容姿の迫力も相まってか、子供達がわあぁっと黄色い声を上げた。
その光景を端で眺めていたスケルトンとウィスプはお互いに見つめた。
「…スケルトン、彼は……」
「……あぁ、難癖あるな…」
やっぱりか。
困ったようにウィスプは苦笑った。
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