進化合成2

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「…凄いな」 「麗しの君だけに見せるよ。ボクは君を護るから」 性懲りもなくお得意のウィンクを飛ばしてみせた。 ウィンクを交わしつつ、ウィスプはふと、思い付いた事を訊いてみた。 「弓の修行はいつも此処だけかい?主様のフロアにも設けてあるのに」 そうすれば皆の励みにもなると思った。 ………しかし。 「…弓は飽きてしまってね、稀にしかしないんだ。その代わり今は蹴拳を磨いているのさ」 瞬きしたら見過ごしてしまうその一瞬の時だけ、ペガサスの顔に陰りが見えた気がした。 「ペガサス、……、…」 思わず声を掛けようとしたが。 「ん、何だい?」 振り返ったいつもの顔に戻ったペガサスを見て、ウィスプは噤んでしまった。 くすんだ髪が、さらりと揺れた。 ペガサスは癖のある奴だとウィスプは思う。 子供達に弓を見せて見たりと人気だが、 『また、今度ね』 弓を射る姿は決して見せない。 バルログやマンティコアが深く勘ぐろうとすれば、 『そんなにボクに興味があるのかい?光栄な事だが生憎ボクには麗しの彼がいるんだ。すまないね』 あしらわれ去なされる。 友好的かと思えば、皆とは一線引いている………ウィスプにはそこが気になっていた。 ―一週間後。 ペガサスにも慣れて、いつものようにスケルトンと一緒にいる昼過ぎの事だった。 「おいウィスプ、スケルトン!」 バルログが大股で近付いてきて、少し苛立ったような声を掛けた。 「…騒々しいな。どうした」 「アイツどこ行きやがった?!」 「アイツ?誰の事かな」 ウィスプが尋ねると、隣にいたマンティコアが宣った。 「あの暴れ馬だ」 ―馬。…ペガサスの事だ。 「暴れ馬?…まさかあの、」 「そうだ。………一ヶ月前、大草原で召喚士達と連れモンスター達をたった一人で皆殺しにした暴れ馬………それが今回召喚されたペガサスなのだ!!」 フロアに居る皆の空気が固まった。 皆、半信半疑で恐る恐るこちらに耳を傾けている。 「…それが真実という証拠は?」 ウィスプも勿論違うと信じていた。 ペガサス本来の姿を垣間見ていたから。 だがそれはすぐに打ち砕かれた。 「ヤツの結ってある毛を見ろ。アレは髪の毛ではなく血を浴びた同胞の尻尾だ!!」 緩く結われたくすんだ髪。 …着け髪のようにカモフラージュした、血の付いた尻尾。 しなる腕、弓の技量。 ………背筋が凍った。
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