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進化合成1
主から召喚されてニ週間が経った。
俺が端でフロアに集まる仲間達をぼんやりと眺めていた。
仲間達に囲まれた中心には、俺達の主がいる。
どうやらタワー祭に初めて勝利した主がその記念にと、手に入ったクランでモンスターを喚び出すようだ。
―…新入りか。
どんなヤツが喚び出されるのかと見ていると、やがて中央の魔法陣が光を放ち、姿を表した。
―束ねられた髪に、白のローブ、杖の先端部には青の魂が灯っている。
ヤツは主と二言三言話した後、真っ直ぐに俺の方へ向かってきた。
「やあ、初めまして」
「…ああ」
青い髪をさらりと流し、柔らかい物腰とともに、整った顔立ちには笑顔を湛えている。
自分には有り得ない表情に、俺はそう返す事しか出来なかった。
「主様がね、私はタワー祭初勝利の記念だって。光栄な事だよね」
「…ああ」
実際その通りだ。
主は本当に喜んでいたのだから。
「改めて、私はC・ウィル・オ・ウィスプ。ウィスプって呼んでくれ。君は?」
「………C・スケルトンだ」
「…さっきから何か悩んでいるようだけど、どうかしたかい?」
俺の視線まで屈み込んで、ウィスプは俺の顔を覗き込んだ。
―静かな海のようだ。
その目で見つめられると心まで見透かされそうで、慌てて目を逸らした。
「……進化合成、」
「ッ!」
「…って、知っているかい?」
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