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「じゃあね!また明日も学校でっ!」
ゆらりと振られた手のひら、鈴と交差点で別れを交わす中俺は表情を変えずに手を小さく振った。そして紺色の髪を揺らし、お淑やかという言葉が一番に似合う鈴を視野から切り離した俺は自宅へと進路を向ける。
家に帰っても誰もいない。唯一居たとすれば隣の家に住む[彩さん]だけだった。彼女は一人暮らしの大学生であり、度々一人暮らしの俺に気遣って夕食に誘ってくれた。
そして俺は何をするのだろうか。家に帰って遠い天井に手をかざす事だけ。何も満たされない空腹感と変わらない状況の俺は当に[コワレタ]のかもしれない。それが続く日常なんて生きる意味すら浮かばない……
足が重たい。何だろうな……雪が降ってきたよ。
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