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切なさが針の様に
チクチク胸をさす宵の街。
『僕は大丈夫やから』
あの日の安の
つよがりな笑顔だけが
旅立つ俺の背を支えてくれる。
『ッ忠義な…んて…ヒッ…大嫌い…ッ…やから…東京…行って…ヒック…ええ…よ』
想いは不器用に
どこまでも真っ直ぐで
『忠義大好きやでっ』
やわらかな安の心は
眩しいほど澄みきっていた。
きっと幸せが安を待っとるから。
その時は躊躇うことなく手を伸ばして掴み取るんやで。
遠ざかる俺を忘れてもええよ。
未来だけを見て歩き出そうや。
好きやで。
大丈夫。俺らは1人じゃない。
俺らは繋がってるから。
「よし、俺、やるで!!」
今もなおお描き足される
大きなその夢が叶うように
少しずつ彩色を重ねる。
「…なんか違う」
いつしかキミらしく
咲き誇るように。
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