序章
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沖田総司は灯りもない部屋でただ天井を見上げていた。 小さく咳を繰り返し、ただ部屋の外から聞こえる雨の音に耳を澄ませた。 胸が熱い。咳を抑えようと口を手で覆ったが指と指の間から咳と共に出た血が溢れていた。 血が畳を濡らす… 止まらなかった。 雨はやむ気配を見せない。 ――カタ―… 静かに襖を開ける。 襖のさきには、いつもの庭が濡れていた。
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