一章

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“そこ”は暗かった。 いきなり知らない場所にいた。 なんだかよく覚えてはいないが、とにかくこの場所ではないところから来たのは覚えていた。 家族もいた。 友達もいた。 恋人もそれなりにいた。 普通の生活を送っていたはずだった。 自分なりの… はっきりと思い出そうとするが霞んであまり重要なところが思い出せなかった。 家族や友達、恋人の顔… どこに住んでいたか、 なにをしていたのかなど ただ知識はあった国語、数学、化学、世界史、日本史… フッと自分の名前が思い出せないことに気づいた 《なんだっけ…私の名前って…》 しばらく考えるも思い出そうになく、潔く諦めることにした。 《まぁ、その内思い出せるだろう》 よし!と立ち上がり自分の現在地を確認しようとしたが、違和感を感じる。 《あれ?四足歩行?》 じっと自分の手足を見つめる… 黒い毛に覆われた動物の足が目線の先にあった。
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