一章

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しばらくその暗い場所を歩んでいると眩しいほどの光が前からさしている。 光の中に出るとそこには活気がある市場が広がっていた。 人は皆、着物を着ている。 《…………》 その光景に息を飲み込み、しばらく眺めていた。 後ろは暗い路地だった。 《路地から私は出てきたのか》 ぼぉっとしながら思った。 目の前の水溜まりには黒い猫が映っていた。 自分の手足の毛の色と同じことからこれが“今”の自分か、 と思った。
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