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「成る程。ドゥーガ殿のご息女か」
……俺は無視ですか? 別にいいけど。
「うむ。そろそろ社交界に出るべき歳だからな」
それからは、領主の二人はやいのやいのと談笑を始めた。
つか、貴族のくせに礼儀がなってないのどうよ? まぁ、期待してないけど……
空気扱いされたので、俺とローラはどうしようか考えた時、
「ローラ=マークレイさんですね?」
と、声を掛けられた。
「初めまして。僕はセルシオ家の嫡男……」
「僕は……」
「私は……」
声のした方へ振り向いたら、沢山のお坊ちゃまの軍勢がいた。
我先にと挨拶をかましてくる発情期の猿のような連中に、ローラは、「えっと……あの……」と、あたふたとしながら返答に窮していた。
助け船を出そうとしたその時。
「ちょっとちょっと! あなた逹、彼女が困ってるじゃないの!」
と、ひとりの少女が猿共とローラの間に割り込み、一喝した。
乱入してきた少女を見た猿共は、蔑むような目で、あからさまな嫌悪感を露にした。
……ところで、誰なんですかね? 貴族であることは分かるんだが……
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