第三章

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 腰に手を当て、毅然とした態度で猿共と対峙している少女は、 「さっさと散りなさい!」  と、言い切った。  どうも少女に良い感情を持ってないように見える猿共は、全員が、「はっ」と鼻で笑い、嘲るような視線を向けた。 「この場から消えるのは君の方だろう? 貧乏貴族が」  少女の目の前にいる、背が小さいお坊ちゃんが言う。  それに賛成するように、周りの猿共も、「そーだそーだ! 貧乏は帰れ!」と声を揃えて言う。  なに? この無駄な連携。  それよりも、この娘、貴族なのに貧乏か。ネルミラ皇国じゃ珍しい。 「貧乏で悪い? あんた逹みたいに、領民から税を毟り取る貴族よりマシだわ」 「なんだと!?」 「あら、本当のことじゃない」 「マリー=フィリアス! 君は喧嘩を売っているのか!?」  一触即発。  今から取っ組み合いになりそうな中、 「こら、マリー」  と、優しげな声をした男性が割って入った。 「お父様……」  どうやら、このマリーという少女の父親らしい。  ってことは、このオッサンが領主か…… 「私の娘が失礼なことを申し上げ、まことに申し訳ありません」  と、男性は猿共に深々と頭を下げた。
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