第三章

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 父親の出現により、憤慨していた猿共は、「ちっ」と舌打ちをひとつして、去っていった。  ローラに群がってたの忘れたのかな?  まぁ、ローラは安堵しているようで、あからさまにホッとしていた。 「お父様! 何故謝るの!?」  マリーは父親に詰め寄り、非難した。  ……お? やっとマリーの顔が拝めた。中々に可愛らしい感じじゃん。  髪はサラサラのブロンド。目は少し吊り上がりキツイ感じだけど可愛らしい……つーより、美人だな。 「マリー。私逹の立場は低いんだ。だから、無闇に喧嘩をしちゃいけない」 「でも!」 「でも、じゃあない」  口調は優しく諭しているが、目が有無を言わせない。 「…………はい」  納得してないのが丸分かりだ。  だって、マリーの顔が『あたい不満よ!』ってなってるし。  男性は、ローラと俺に向き直り、 「お見苦しいところをお見せしました」  と、深々~と頭を下げた。 「私、フィリアス領の領主、エドガー=フィリアスと申します。こちらが娘のマリーです」  と丁寧に自己紹介してきた。  それに慌ててローラが自己紹介をした。
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