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「あ……わ、私はドゥーガ=マークレイの娘で、ローラと申します」
ペコリと頭を下げたローラを、マリーとエドガーは驚いて見ていた。
「……マークレイ」
消え入りそうな声量で呟いたマリーを、ローラは不思議そうな顔をして首を傾げた。
二人の気持ちはよく分かる。
民を虐げる筆頭貴族と言っていいマークレイ家のひとり娘が、こんなおっとりした性格だからなー。
「おや? これはこれは。フィリアスの領主ではないか」
と、俺達の後ろでやかましく談笑していたドゥーガが割って入ってきた。
「お久しぶりです。ドゥーガ殿」
「……ふん」
ふんぞり返り、ドゥーガは挨拶をしたエドガーに冷たい目を向けた。
そして、表情は一転し優しい眼差しになり、ローラへと顔を向け、
「ローラ。私は少し話しがあるから、席を外してくれんか?」
と、聞かれたくない話しをするのだろう。追い出すように言った。
「……はい」
「すまんな。
ルーク、ローラを頼むぞ」
「かしこまりました」
状況が理解できてないローラを促し、俺はその場から離れた。
ふむ。
フィリアス家……か。
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