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うん?
ニトル君を見ていたら、目が合った。
彼は、怯えたように隣にいる父親に摺り寄り、顔を背けた。
ガキかお前は。
つか、父親の顔……ニトル君にそっくりだ。
息子の異変に気付いた彼は、俺を見付け、凄まじいまでの憎しみを孕んだ目で睨んできた。
「……どうしたの?」
不意に声を掛けられ、俺はハッとした。
ローラのダンスの相手探してるんだった。
「いえ、なんでもありません。
さて、どうしましょう……」
俺が途方に暮れている間、周りは着実にパートナーを作り、ダンスを始めていた。
そんな時。
「マークレイさん。僕と一曲いかがですか?」
適当にあしらった猿のひとりが、懲りずにやって来た。
不意に話し掛けられたローラは、ビクリと肩を震わせ、俺の背後に隠れた。
瞬間。
猿は邪魔者を見る目で、鬱陶しそうに俺を見た。
つか、俺は悪くないだろ。
「ローラ、いい相手がおらんのか?」
あしらおうとした時、ワイングラスを片手に、ドゥーガとゾイルが現れた。
「悪いが、ローラは嫌らしいのでな。諦めて他を探せ」
同じ貴族でありながら、ドゥーガは思い切り上から猿に物を言った。
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