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なにかしら言い返してくるかと思ったが、猿は慌てて立ち去った。
マークレイの威厳ってヤツだろうか? このデブに?
「相手がおらんのなら仕方ない……ルーク。お前が相手をすればよい」
──は?
「あの……旦那様? それは流石に……」
「別に構わんさ。執事が相手をしたらいかんという決まりはない」
ドゥーガは「それに」と付け加え、
「どこの馬の骨とも知れぬクソガキが相手よりはマシだからな」
と、ガハハと笑う。
親バカもいい加減にしろよ。
ゾイルを見ると、異論はないようで、頷いている。
ローラに至っては……なにも言うまい。
「……かしこまりました」
諦めるより他ない。
俺はローラの前に跪き、手を差し伸べた。
「それではお嬢様。私と踊って頂けますか?」
カァー、臭い。非常に臭い。こんな恥ずかしい台詞言いたくないのに……!
「はい!」
満面の笑顔で俺の手を取り、彼女は答えた。
ああ、こんな筈じゃなかったのに。
立ち上がった俺は、
「では、行ってきます」
と、ドゥーガに一礼して、ローラをエスコートしながらダンスをするスペースへ向かった。
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