第三章

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 なにかしら言い返してくるかと思ったが、猿は慌てて立ち去った。  マークレイの威厳ってヤツだろうか? このデブに? 「相手がおらんのなら仕方ない……ルーク。お前が相手をすればよい」  ──は? 「あの……旦那様? それは流石に……」 「別に構わんさ。執事が相手をしたらいかんという決まりはない」  ドゥーガは「それに」と付け加え、 「どこの馬の骨とも知れぬクソガキが相手よりはマシだからな」  と、ガハハと笑う。  親バカもいい加減にしろよ。  ゾイルを見ると、異論はないようで、頷いている。  ローラに至っては……なにも言うまい。 「……かしこまりました」  諦めるより他ない。  俺はローラの前に跪き、手を差し伸べた。 「それではお嬢様。私と踊って頂けますか?」  カァー、臭い。非常に臭い。こんな恥ずかしい台詞言いたくないのに……! 「はい!」  満面の笑顔で俺の手を取り、彼女は答えた。  ああ、こんな筈じゃなかったのに。  立ち上がった俺は、 「では、行ってきます」  と、ドゥーガに一礼して、ローラをエスコートしながらダンスをするスペースへ向かった。
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