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「なにか?」
「あ……いや、貴方って、その娘の執事よね?」
「ええ、そうです」
この燕尾服見れば分かるだろ。
まぁ、言いたいことは分かるが。
「どうして執事の貴方が、その娘とダンスを?」
「それはですね……」
と、俺がダンスをするハメになった経緯を簡単に説明した。
説明し終わると、マリーは、「ああ、なるほどね」と呆れを含んだ顔で納得。
ふと、彼女の手に目をやると、左手の中指に、紫色の石をはめ込んだ指輪が目に入った。
「……失礼します。その指輪……綺麗な石を使っていますね」
大体の予想は出来るが、一応確認してみた。
「へ? ああ。これ? 綺麗でしょ。魔具なの……父との通信用の」
やっぱり。
貧乏貴族って言われてる割りには金あんじゃん。
「そうなのですか。便利ですね」
主に俺の計画に。
さて、どうするか……
あまり時間はないんだよなぁ。
ドゥーガ達からは、ここは死角になっているから、フィリアス家に接触しているのは見られてない今しかないんだが……
「……あの」
俺の隣でやり取りを見ていたローラが、マリーに声を掛けた。
「先程はありがとうございました」
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