第三章

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「なにか?」 「あ……いや、貴方って、その娘の執事よね?」 「ええ、そうです」  この燕尾服見れば分かるだろ。  まぁ、言いたいことは分かるが。 「どうして執事の貴方が、その娘とダンスを?」 「それはですね……」  と、俺がダンスをするハメになった経緯を簡単に説明した。  説明し終わると、マリーは、「ああ、なるほどね」と呆れを含んだ顔で納得。  ふと、彼女の手に目をやると、左手の中指に、紫色の石をはめ込んだ指輪が目に入った。 「……失礼します。その指輪……綺麗な石を使っていますね」  大体の予想は出来るが、一応確認してみた。 「へ? ああ。これ? 綺麗でしょ。魔具なの……父との通信用の」  やっぱり。  貧乏貴族って言われてる割りには金あんじゃん。 「そうなのですか。便利ですね」  主に俺の計画に。  さて、どうするか……  あまり時間はないんだよなぁ。  ドゥーガ達からは、ここは死角になっているから、フィリアス家に接触しているのは見られてない今しかないんだが…… 「……あの」  俺の隣でやり取りを見ていたローラが、マリーに声を掛けた。 「先程はありがとうございました」
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