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◆ ◆ ◆
草木も眠るであろう深夜。
俺とローラは、ドゥーガとゾイルに断りを入れて、一足先に舞踏会を後にしていた。
ガラガラと車輪の音だけが聞こえている。
馬車の室内は静寂が支配していた。
……いや、正確には静寂じゃないな。
だって……
「すー、すー……」
と、寝息が聞こえてるし。
ダンスが終わり、ドゥーガの元へ戻ったところ、ローラの表情が芳しくなかった。
初めての社交界。
初めての公の場でのダンス。
初めて対面した貴族達。
それらによって、精神的疲労が酷かったらしい。
流石は箱入り娘だ。打たれ弱いし、体力皆無。
まぁ、そんな感じでお疲れのローラを見た親バカ肥満ドゥーガは、「一足先に帰りなさい」と、ローラに命じた訳である。
マークレイ家は、ネルミラ皇国一の貴族であるため、王族主催の舞踏会でもやりたい放題だ。
そもそも、何であんな男が当主で国一番の貴族なのか不思議だ。
……予測の域を出ないが、恐らくはゾイルの手腕によるんだろうけど。
とにかく、だ。そんなことがあり、俺達はマークレイ家に帰宅中なのである。
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