第三章

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 ひい、ふう、みい……  数えてみたところ、ざっと二十数人くらいかな? 「どちら様でしょう?」 「…………」  返事なし。  ま、当然っちゃ当然か。返事して身元バラすバカはいないよね。 「……あ、あの」 「大丈夫ですよ。怖がる必要ありません」  ガタガタと震えていた御者の叔父さんに「すぐ済みますから」と言って、俺は刺客達に向き直った。 「そこにいられると邪魔で仕方ないんですよ」  俺が右手をスッと掲げると、それを合図に、刺客達がこぞって襲い掛かってきた。 「おやすみなさい」  ニコリと笑い、俺は魔法陣を素早く構築し、放った。 「無情の雷雨」  そう魔法名を唱えた直後、辺りは眩い光りに包まれ、轟音が鳴り響いた。      ◆ ◆ ◆ 「早く白状した方がいいですよ?」 「…………」  少し焦げ臭い匂いが鼻を突く中、俺はあえて魔法から外した刺客のひとりを尋問していた。  しかし。  これが中々口を割らない。見上げた根性だ。  周りには電撃の雨を受けて、痙攣している仲間がいるのに、怖がる素振りすら見せない。  ……尋問から拷問に変えてやろうか? この野郎。
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