316人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
「おはよーございまーす!」
外の木で雀が囀(さえず)り、朝日が射し込み明るくなった部屋。
部屋の広さの割りに、必要最低限の調度品しか置かれてなく、とても簡素な部屋だ。
そんな部屋の、窓際に置かれたセミダブル程の大きさのベッドの脇に立ち、エミリア=ロバートは朝のご挨拶を盛大にかました。
「ハイハーイ! 朝ですよー! 起きましょうねー!」
ベッドの上で寝ている人間を起こそうと、手をバタバタさせて叫ぶ。
──しかし。
「……うぅん」
寝ている人間は、掛け布団を頭まで引き上げ、目覚ましコールをシャットアウトする仕草を取り、抵抗する。
「むぅ~」
頬を膨らませたエミリアは、強行手段に出た。
布団をひっ掴み、「おりゃー!」と一気にひっぺがした。
「さっさと起きなさーい!」
「……うぅ、寒い……」
ひっぺがされた相手は、そう言って、起きることをせず、自分の身体を抱き締めるように丸まり、惰眠を貪ろうと試みる。
「ちょっと! マジで起きてよ! あたしお腹空いてんの。あんたが起きないと食べれないじゃない!」
惰眠を貪る相手の枕元をバンバンと叩き、エミリアは訴えた。
最初のコメントを投稿しよう!