第四章

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「おはよーございまーす!」  外の木で雀が囀(さえず)り、朝日が射し込み明るくなった部屋。  部屋の広さの割りに、必要最低限の調度品しか置かれてなく、とても簡素な部屋だ。  そんな部屋の、窓際に置かれたセミダブル程の大きさのベッドの脇に立ち、エミリア=ロバートは朝のご挨拶を盛大にかました。 「ハイハーイ! 朝ですよー! 起きましょうねー!」  ベッドの上で寝ている人間を起こそうと、手をバタバタさせて叫ぶ。  ──しかし。 「……うぅん」  寝ている人間は、掛け布団を頭まで引き上げ、目覚ましコールをシャットアウトする仕草を取り、抵抗する。 「むぅ~」  頬を膨らませたエミリアは、強行手段に出た。  布団をひっ掴み、「おりゃー!」と一気にひっぺがした。 「さっさと起きなさーい!」 「……うぅ、寒い……」  ひっぺがされた相手は、そう言って、起きることをせず、自分の身体を抱き締めるように丸まり、惰眠を貪ろうと試みる。 「ちょっと! マジで起きてよ! あたしお腹空いてんの。あんたが起きないと食べれないじゃない!」  惰眠を貪る相手の枕元をバンバンと叩き、エミリアは訴えた。
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