第四章

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 流石に耐えれなかったのか、ベッドの上の人物はむくりと身を起こした。  手で目を擦りながら、 「なによ……うるさいわねぇ」  と、寝起きのため、少し呂律(ろれつ)の回らない舌で言う。 「うるさいって何よ! あたしがわざわざ起こしに来てあげたのに、その言い方ムカつくんだけど!?」 「ムカつくんなら起こしに来なければ良いじゃない」  朝っぱらから喧嘩を吹っ掛けられたエミリアは、今まさに掴み掛からんと手を伸ばした。  そんな時。 『おいおい。朝からなにしようとしてんだよ……』  ひょこっと、エミリアの目の前に、うさぎの縫いぐるみが『やれやれ』と言った感じで現れた。  縫いぐるみに憑依したフェイト=ライアンである。 「うっさい邪魔!」 『ぐはっ』  目の前にいたフェイトをひっ掴み、エミリアは床に叩き付けた。  それを見た寝起きの人物は、目を見開き、床に叩き付けられたフェイトを慌てて拾い上げ、胸に抱いた。 「ちょっと! なんてことしてくれてんのよ! 可哀想じゃない!」 「可哀想? そいつが~? マリーはなーんも分かってないね」  そう言われた寝起きの人物──マリー=フィリアスは、エミリアを無視して、フェイトの頭を撫で出した。
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