第四章

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「よしよし。可哀想に……痛かったでちゅね~」  ニヤけた顔で赤ちゃん言葉を使うマリーに、エミリアはドン引きする。  それに気付かずに、「もう大丈夫でちゅからね~」と、尚も続ける。 (そいつ、元は人間の男だって言ったはずなのに)  そう疑問に思うも、マリーにしてみれば、人間だったフェイトを知らない。故に、立って歩いて喋る縫いぐるみでしかない。  フェイトもフェイトで、抱き上げられるのに不満はないのか、されるがままだったりする。 『エミリアはいつも乱暴なんだ』  と、終いにはこんな事まで言い出した。  普段のオラオラなキャラはどこへやらだ。 「……どうでもいいけど、あたしお腹空いてんの」 「そうでちゅか~。酷いでちゅね…………勝手に食べてくれば?」  と、気持ち悪いくらいにニヤけてた顔が一変し、常の勝ち気な顔を向けて言った。 「アンタの親父さんに『起こして一緒に飯食え』って頼まれてんの。だから、一緒にじゃないと朝食は取れないのよ」  と、プイッとそっぽを向き、頬を膨らませた。  その仕草を見たマリーは、エミリアに気付かれない程度に小さく笑い、フェイトを床に立たせ、 「はいはい。じゃ、着替えて行きましょうか」  と、一度エミリアとフェイトを退出させ、着替えを手早く済まして部屋を出た。
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