316人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
◆ ◆ ◆
カチャカチャと小さな音を立て、朝食を食べている。そんな中で、エミリアが不意に聞いた。
「いつも思うけど、マリーって貴族よね?」
「何よ急に」
「質素だなーと思ってね」
キョトンとした顔をエミリアに向け、
「うちはネルミラの貴族一の貧乏だから仕方ないのよ」
と、自嘲気味に笑う。
続けて、
「そもそも、裕福になりすぎるのは考えものだわ」
と言う。
その発言にエミリアは、「そうね」と同意し、
「その土地を治める領主が裕福になりすぎて、民を虐げるなんて最低」
「ええ。最低だわ。
……でも、この国は、王族を始め、殆んどの貴族がそうよ」
マリーはそう言い、苦虫を数匹噛み潰したような顔になる。
お互いに、朝食を取る手が止まってしまっている。
『そんなお偉いさん方の状態で、よく国が保ってんなぁ』
エミリアの隣の椅子に、足を投げ出した形で座っていたフェイトが話しに割り込んできた。
『他国から攻め込まれてもおかしくないだろ?』
「それは大丈夫よ。国境に国一番の精鋭部隊を送ってるから」
マリーは、「私の領の兵士なんだけどね……」と付け足し、憎々しげに唸った。
最初のコメントを投稿しよう!