第四章

7/30

316人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
 納得し、ひとり「うんうん」頷いていると、 「……で、あんた達が来て三日くらいになるけど、彼が言ってた事、本当にやるの?」  マリーが確認するように聞いてきた。 「うん。間違いなくやるよ」 『……俺は一刻も早く元に戻りたい』  フェイトがぼそりと呟いたのを聞き流し、エミリアはマリーに言う。 「そっちの準備が整えば、お兄ちゃんは動くはずだよ」  言われたマリーは、少し不安げな顔をしたが、「分かったわ」と言い、視線を虚空に向けて、しみじみと呟いた。 「彼から話しが来たときは何の冗談かと思って驚いたわ」      ◆ ◆ ◆  舞踏会が終わり、終始、居心地が悪い思いをしていたマリーは、なんとなく今回の舞踏会を思い返してみた。  初めて舞踏会に参加したのは二年前。今回の舞踏会で三回目になる。  毎回毎回、来ている貴族達には、やれ貧乏貴族、やれ貴族の恥さらしなどと罵倒されてきた。  今回も、例に漏れず罵倒されるのかと思いきや、女性貴族だけにしか言われない。  不思議に思った。  周りを見渡してみると、野郎共がこぞって一ヵ所に集まっているのが見えた。  好奇心が芽生え、マリーはそうっと近寄ってみることにした。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

316人が本棚に入れています
本棚に追加