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誰かを囲んでいるようだ。しかし、マリーのように虐め紛いのようではない。
なぜなら、
「初めまして!」
「舞踏会デビュー? それなら、僕を頼るといいよ」
「よろしく」
といった具合だからである。
これらの発言により、言い寄られている相手は、今回が初めての舞踏会らしい。
(どんな人かしら?)
少し脇に寄り、マリーは首を伸ばして確認してみた。
見えたのは、フワリとした茶色の髪、目鼻立ちが整った可愛らしい少女だ。
(……ああ、成る程ね)
相手が大人しそうな女の子だから盛りがついたのか、とマリーは思う。
どこの貴族の少女なのかは分からないが、矢継ぎ早に質問され、おろおろしていたのが分かった。
マリーは、何故か彼女を守ってやりたくなり、猿の軍勢を掻き分けて彼女の元へ向かった。
「ちょっと! 彼女困ってるでしょ」
と、少女の盾になるように立ち、助け船を出した。
案の定、マリーが現れたのが気に食わない連中は罵倒した。
そして、マリーの父親が現れ、連中はいなくなった。
それからだ。驚いたのは。
助けた少女が、まさかマークレイ家のご令嬢だとは夢にも思わなかったのだ。
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