第四章

8/30

316人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
 誰かを囲んでいるようだ。しかし、マリーのように虐め紛いのようではない。  なぜなら、 「初めまして!」 「舞踏会デビュー? それなら、僕を頼るといいよ」 「よろしく」  といった具合だからである。  これらの発言により、言い寄られている相手は、今回が初めての舞踏会らしい。 (どんな人かしら?)  少し脇に寄り、マリーは首を伸ばして確認してみた。  見えたのは、フワリとした茶色の髪、目鼻立ちが整った可愛らしい少女だ。 (……ああ、成る程ね)  相手が大人しそうな女の子だから盛りがついたのか、とマリーは思う。  どこの貴族の少女なのかは分からないが、矢継ぎ早に質問され、おろおろしていたのが分かった。  マリーは、何故か彼女を守ってやりたくなり、猿の軍勢を掻き分けて彼女の元へ向かった。 「ちょっと! 彼女困ってるでしょ」  と、少女の盾になるように立ち、助け船を出した。  案の定、マリーが現れたのが気に食わない連中は罵倒した。  そして、マリーの父親が現れ、連中はいなくなった。  それからだ。驚いたのは。  助けた少女が、まさかマークレイ家のご令嬢だとは夢にも思わなかったのだ。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

316人が本棚に入れています
本棚に追加