第四章

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 そして直ぐに二人と別れたマリーは、舞踏会のメインのダンスが終了した瞬間に、会場を後にし、帰宅した。  帰宅して早々に、自室のベッドに仰向けになったマリーは思う。 (あの娘、マークレイ家のご令嬢じゃなければ友達になれたのに)  と。  深い溜め息を吐き、寝返りを打った時だった。  マリーの右手の指に嵌められている、指輪型の通信魔具が淡く光った。 「お父様かしら?」  半身を起こし、指輪に魔力を流して応答した。 (はい) (お? 出た出た。こんばんは) (え? こ、こんばんは)  誰? (いきなりごめんね。さっき舞踏会で会ったルークだけど)  そう言われ、マリーは目を見開いて驚いた。 (あの、何で私と通信出来るんです?)  いくつかあるうちの一番疑問に思うことを聞く。 (ああ、握手したでしょ? あの時に君の魔具に、俺の魔力を記憶させたんだよ)  とんだ早業である。 (そ、そう。 後、喋り方が全然違うのは……) (うん。これが素なんだよ)  最早、マリーには何が何だか意味が分からない。  そもそも、ローラの執事が一体何の用なのだろうか?  と思った矢先、 (実は、折り入って頼みがあるんだ) (……頼み?)  おうむ返しに聞き返す。
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