プロローグ

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 もし、自分が普通とは違う特別な存在だと言われたらどうする?  それも、世界を巻き込む程の存在であるなら。  俺はかなり戸惑ったよ。だってそうだろ? 誰しもが普通の存在を求めるはずだ。  まぁ、中には例外もいるだろうが……  さて。  今から、俺の身の上話しをするな?  少し長いが、まぁ聞いてくれ。  幼い頃、当時二歳の俺は、ロバート家に養子として引き取られた。  ロマニア国の小さな町に生まれたが、一人の正体不明の輩に町が襲撃され、家族もろとも町人が皆殺しにされた。  その時、丁度町を訪れたロバート領の領主──ミストラル=ロバートに生き残った俺は拾われた。  その時の事は、まだ幼すぎて憶えてない。だが、ミストラルによく聞かされたな。 「お前の父親は立派な父親だった」  それからは幸せに過した。ロバート家に仕える兵士や使用人も優しくしてくれた。  何より、同じ境遇でロバート家に来た義妹のエミリアもいたからな。  当時のロマニアは、国王がかなり最低で、貴族同士の争いが絶えない状況だったが、ロバート領はかなり平和だったよ。  でも、そんな平穏はいつまでも続かなかったんだ。
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