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「…署長命令、ね」
ウェイラーは受け取ったサンドイッチに目を落とし、久しぶりにまともなメシだ、と呟いてかじりつく。
「それにしても、こんな時間に差し入れしてもらって悪かったな。
そっちだって忙しいだろうに」
ミラコーニは軽く肩をすくめ、気にすることは無いさ、と言った。
「あぁ、ついでにもうひとつ」
「何だ?」
ミラコーニはサンドイッチをまだ手に持ったままで言う。
「ウェイがこっちに滞在中、住む場所が決まったよ。
ここから車で15分程度のところにあるアパートだ。なかなか条件の悪くない場所だと思うぞ」
そこまで言うと、ミラコーニはようやく手にしているサンドイッチを口にした。
「…そうか、そこまでしてくれてたのか。
世話になるな」
「気にするな、ウェイ」
ミラコーニは軽く微笑み、別の紙袋をウェイラーに渡した。
ウェイラーが中を覗くと、パンとドーナツがいくつか入っていた。
「あ、そうだウェイ。今日早速住宅に帰ってみたらいい。
大して寝てないだろう?
それに今日は午後から出勤するようにしておくけれど」
コーヒーを飲みつつ、ミラコーニが言う。
ウェイラーはしばし考え答えを返した。
「…いや、出勤時間は朝からでいい。
その代わり、午後に時間を開けてくれた方が有り難いな」
「わかった、そうしよう」
そしてかなり遅い食事を済ませた二人は、警察署を後にした。
ウェイラーは言われた通りに車を走らせ、指示されたアパートに到着した。
駐車場に車を停め、見上げた建物はなかなか悪く無さそうだ。
(……203号室…)
渡された鍵のプレートを眺め、駐車場から階段へと向かう途中のアパート指定のゴミ置き場で、彼は。
倒れている人間を見つけた。
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