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どうせ結果と言うと成績の評価も最悪であれば、人としての評価も最悪。学校内では『変態』と言う共通認識が染み渡り、あだ名にもなった。
泳げなければ、勉強も平均以下。目立った特技もなく、ただ顔立ちだけは良いと言われて来た。だか、それも性格に全て打ち砕かれたんだ。
「僕の性格はどうやったら治ると思う?」
水泳の補講を終え、制服に着替えた僕は途中、道端でばったり、二階から跳んで来た唯一無二の女子の友達、巴山茉莉先輩に自然と聞いていた。特に二階から跳んで来たと言う点は気にしないでほしい。
「“性格”? 別に遊佐君は自分の性格を気にする事はないんじゃない?」
茉莉先輩は機嫌良さそ気に片手持つ皮の鞄をブンブンと振りながら歩いてたのを言い放ったと同時に止め、スキップしなが僕の目の前に立ち憚る。
表現するなら世の中の定理を覆すかのように時間が止まったように感じた。
「私は別に嫌いじゃないよ? 隠し事が出来ない可愛い性格はね」
彼女だけは僕を絶対に否定しない。
誰もが二度見する端整な顔立ちと雑誌に載るモデルも嫉妬しそうな身長。腰まで伸びる手入れのされた黒髪はまさに大和撫子。女の子独特の香りが包む彼女は常に男の心を弄ぶかのようにくすぐり、学校一の美人と言っても過言ではない。
そんな彼女、巴山茉莉は周りに何と言われようと僕を絶対に否定しない。
むしろ、周りを否定して孤立している風景に何度も遭遇してきた。
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