告白

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「私、あの人に今日、コクる!!」 突然の台詞に彩花は驚いた。 「え…、誰に?」 「相原君。」 「へー。よしっ、理奈、ファイト!」 「うん、ありがと。」 昼休みの今現在。 夏の日差しが教室に差し込み、クーラーを弱らせる。当の相原 弘輝は複数の友達に囲まれ、いつも通り話をしていた。 理奈は席を離れると、ずんずん歩き出した。 「相原君!」 相原は話を止め、理奈を振り返る。 「おう?」 「好きですっ」 一瞬の空白。 教室の空気が固まる。 (コクったァァァ!!) 彩花が心の中で頭を抱えると同時にクラスが爆発する。 「言ったァッ!!」 「よっ、モテ男!!」 あちこちから罵声が飛ぶ。 「理奈、ちょっと…」 「え、何!?」 「いいから。」 そう言って彩花は理奈の腕を掴み教室を出る。 「ちょっ、どこ行くの!?」 「人のいない所!」 「え、何?どうして?」 質問には答えず、彩花は階段を登ってく。 屋上のドアを開けると、ガランとした殺風景な景色が広がる。 「アンタ、バカじゃないの!?」 「そりゃ、彩花には成績では勝ったこと無いけど…。そんなストライクに言わないでよ。」 「バカ。何であんな盛大にコクるのよ!!アンタには羞恥心ってもんが無いの!?」 「あるわよ!」 「いや、無いの!」 「私が街中で裸になったことある!?」 「それ犯罪だから。羞恥心通り越して露出狂だから。」 「私はただ、こそこそするのが嫌いなの。公明正大イズベスト!!」 「名言チックに言うな。それに、恋には順序ってもんがあるでしょうが。」 「常識なんて私の前では意味を為さないの。」 「非常識宣言しちゃったよ。あー、もー。アンタと話してると先に進まない。私が言いたいのは、コクるなら放課後とかにこっそりとそれっぽいムードを出してやりなさいってこと!」 「南!」 「ヤバッ、見つかった!!」 「相原君!」 「ちょっといいか?」 「はいはい。」 「あ、佐原は外れてくれないか?」 彩花はコクンと頷きドアの影に姿を消した。 「南、さっきの話…」 「好きよ?」 「あ、聞き間違えじゃなかった。あんまりに唐突だったから冗談かと思ったよ。」 「唐突じゃない方がよかった?」 「いや、別にどっちでもいいけど…。お前、恥ずかしく無いの?」 「私だって勇気を振り絞って想いを伝えたのに!」
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