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「わかるようで、わからない」
途切れ途切れに言う彼女は、もう既に昇り詰める一歩手前。
そう易々と詰めてしまっては、この激情も持て余すだけ。
ギリギリのところで手放して、放ってやった。
すると彼女は どうして、という顔をして、
やがて気付いた。
「それが、あなたなのね」
そう、これが僕の激情。
気付いてくれたことに満足して、
今度はわざとそれを繰り返し、やがて共に昇り、共に堕ちる。
さぁ、もう一度開け放った扉は簡単には閉めれない。
扉の奥からは、いつでも君を引き摺り込む手が伸びている。
気付いたのなら、君はどう動くのか。
僕はもう、青臭いままではいられないのだから。
―「知らない、知らない。」END―
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