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今日は音羽高校の入学式。音羽高校は部活動に力を入れている学校で、文化部が盛んだ。特に合唱部は全国大会で金賞を受賞したり、関東大会に何年も連続で出場するなど、華々しい成績を収めている。合唱部目当てで入学する人も少なくないらしい。
かくいう私も、合唱部目当てである。
「うはー、楽しみだなー」
私はルンルン気分でバスに乗り込んだ。家から音羽高校までは少し遠くて、バス通を余儀なくされる。ものすごい人の数で、隣にいるお母さんは既にヘトヘトだ。
「お、お母さん、大丈夫?」
「もう疲れた…。アンタは何でそんなに元気なの…」
「だって、憧れの学校に入れたんだよ!?テンション上がっちゃうじゃーん!」
お母さんはガックリと項垂れた。私のテンションについて来れないらしい。
…ついて来られても困るけど。
「あっ、お母さん見て見て!音羽高校だよ!」
私はお母さんの肩をバシバシと叩く。顔を上げる気力すら残っていないお母さんは、低い呻き声を漏らしただけだった。
今日からあそこが私の学校…。
期待と不安と、ちょっぴりの憂鬱。
「楽しくなるといいなぁ…」
そんな事を呟きながら、私はもう暫くバスに揺られていたのだった。
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