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あたしのお父さんとお母さんは魔法使いだった。
町のみんなを魔法で助けていた。
あたしはそんなお父さんとお母さんを誇らしく思っていたし、あたしも大人になったら町の為になる事をしたいと思った。
でもその思いは、あっさりと裏切られる事となる。
そう、魔女狩り。
夜中、いきなり町の人達が家に来て、お父さんとお母さんを捕まえようとした。あたしも例外じゃなかった。
「あ…、あぁ…」
部屋の隅で怯えているあたしに、お母さんは言った。
「逃げなさい!」
「え、でもお母さん…」
「いいから!」
あたしはお母さんの必死の剣幕に、何も言えなかった。
窓から箒で飛び立つ瞬間、背中越しに両親の声を聞いた。
『ずっと一緒だから』
あたしは涙を堪えて、空を飛んだ。遥か遠くの森を目指して、ひたすら飛んだ。振り返る事なく。
月が異常なほど白かった。
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