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何物かの声が頭上から聞こえる。俺達は頭上を見上げる。
「早く、手を!!」
そう叫んでいたのは先程の色黒の翔だ。あの渦から半身を乗り出し、俺達に向け両手を伸ばす。
「君、急ぐんだ!!」
大和に叫ばれ、俺達は翔の手を掴む。翔は二人分を引き上げることになるが大和の風のおかげで簡単に引き上げられた。
渦に飛び込むのは少し不安もあったが行かなきゃ死ぬだけだ。
そして俺達は渦の中に消えていく。徐々に渦が小さくなっていく。
それを見たミイラ男は加速し渦に手を伸ばす。
『逃がすか……』
ズズズ…
寸前のところで渦は完全に消え去った。ミイラ男は思わず自分の太ももを叩いていた。
『いずれ後悔するのはお前だぜ……篠崎雄弥……』
そう言い残しミイラ男は何処か遠くへ飛び去っていった。
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