77人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
一、始まりの日
空は晴れ渡っている。
まるで、これからの学園生活を順風満帆に過ごさせてくれるような、そんな希望に満ちていた。
「ほら、カイウス! あなたが寝坊するから!」
「ルビア……お前がそのあと野良猫に気をとられたからじゃないのか!」
――ある一組の男女がいた。
彼らはひたすら激しく言い争いながら、新入生の塊の中へ入っていく。
そして貼り出された表を目にすると、嘘のように大人しくなるのだ。
「……別のクラスみたいね」
「何だよ? オレと一緒がよかったか?」
「そんなわけないでしょ! うるさいお子様がいなくてせいせいするわ」
「誰がうるさいお子様だって?! だいたいお前は――」
――と思ったのは一瞬の隙間。
いつしか二人の周りには、妙な空間が生成されるのだ。
その空間に割って入るは赤髪の少女。
「あたしは一組ね! ……っつっても一年じゃあ、知らない人ばっかりで意味わかんないわよっ」
ぶつぶつとつぶやく彼女を押しのけて入るは、黄色の髪の、活発そうな少年。
「オレは……、三組だ! 楽しみだな~スタン先輩と一緒の学校生活!」
印象通りの性格のようである。
最初のコメントを投稿しよう!