一、始まりの日

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一、始まりの日

 空は晴れ渡っている。 まるで、これからの学園生活を順風満帆に過ごさせてくれるような、そんな希望に満ちていた。 「ほら、カイウス! あなたが寝坊するから!」 「ルビア……お前がそのあと野良猫に気をとられたからじゃないのか!」  ――ある一組の男女がいた。 彼らはひたすら激しく言い争いながら、新入生の塊の中へ入っていく。 そして貼り出された表を目にすると、嘘のように大人しくなるのだ。 「……別のクラスみたいね」 「何だよ? オレと一緒がよかったか?」 「そんなわけないでしょ! うるさいお子様がいなくてせいせいするわ」 「誰がうるさいお子様だって?! だいたいお前は――」  ――と思ったのは一瞬の隙間。 いつしか二人の周りには、妙な空間が生成されるのだ。 その空間に割って入るは赤髪の少女。 「あたしは一組ね! ……っつっても一年じゃあ、知らない人ばっかりで意味わかんないわよっ」 ぶつぶつとつぶやく彼女を押しのけて入るは、黄色の髪の、活発そうな少年。 「オレは……、三組だ! 楽しみだな~スタン先輩と一緒の学校生活!」 印象通りの性格のようである。
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