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「あっ……すまねぇ。」
「敵だと思ったんだろ?後ろから肩を叩いた僕が悪かった。」
そう言うとそいつは立ち上がった。
敵だと思ったというよりも、反射的にやってしまった。
「まっ、痛みなんか感じないから気にしないでくれ。僕は伊原聖勇(イハラセイユウ)。硫黄島でここをズドーンとやられた。」
そいつは襟を広げ、首の傷を見せた。
「名前なんていうんだ?」
「浜田だ。」
「どこで死んだんだ?」
「アッツ島で俺は死んだ。」
「そうか。」
軽く流された気がした。
俺は空を見上げた。
夜のはずなのに空が明るい。
生暖かい風が吹く。
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