+死神+

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「ほら、シキさん。早く行ってあげてください。〇〇小学校の屋上です。彼、自殺を図ったのでしょうね。魂が、そこから離れられないでいます」 『…では、行くとしましょうか』 シキは再び、人間界へと飛びたった しかし… 今の社会どうもおかしいですねぇ 私が回収した魂はこれで199600… そんなことを考えながら、やっと目的の屋上に着く。 …… フェンスの向こう側に、情報屋が言っていた通りのまだ幼い少年が立っていた。 そう。それが魂… シキは少年に足音もなく歩み寄る。 だが、少年はシキに気付いていた。 「…貴方は誰」 シキは驚いて足を止める。 『どうして分かったのです?』 「…足音がしたから」 …足音…? おかしな子ですね 私は足音はしないはずですが… 「ねぇ、誰なの」 少年は静かに振り向いてそう尋ねた。 大人びた顔立ちをした少年の、シキを見つめる大きな目には、光が一切見えなかった。 『…私、死神のシキと申します。貴方の魂を回収に…』 「死神…?僕はまだ死んでないよ」 おや… こんなことを言ってくる魂は始めてですね 死んだという自覚が無いのでしょうか 『いいえ、貴方はもう死んだんですよ』 「…」 少年は無言で、フェンスを渡ると、シキの方に近づいた。 「これでも死んでるって言えるんですか?」 少年は、シキの手に触れた この少年… ,
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