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郁SIDE
一瞬の暗闇。
次に目を開ける前に、羽根の角度を変え、風をつかみ、体をそらす。
そこを風が通り抜けて行った。
「成長したもんだなぁ、イヴ」
あいつがいた。
真っ黒な衣装に身を包み、ふわふわと宙に浮いている。
その向こう側には、臣がいた。
奴が手をあげれば、周りには次々と現れる矢たち。
その矢先は、俺と臣をそれぞれ指していた。
カチリと刀の鯉口に手をやる。
「さぁ、遊びの始まりだぁ!」
目の前に迫る矢。
抜刀の姿勢を取り、向こうの臣と一度目を合わせる。
そして、頷き合った。
決意は決まった。
願いも。
けして、揺らぐことはない。
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