第15章

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錆びた鉄の臭い。 優「お前ら、早く来い!!」 ほぼ反射の様に走り出す。 2人の体によって見えなかった何かが次第に見えるようになる。 潤「郁っ!?」 赤いローブが所々赤く染まった郁が千里に抱きかかえられていた。 その手足は力なく垂れ下がっている。 兄貴もまた優和に支えられ、かろうじて立っている。 郁と同じように血が流れていた。 呉「臣っ!  どうしてこんな……!」 顔を蒼白にして呉羽が叫んだ。 その叫びは、周りの人にも聞こえわたり、場を騒然とさせる。 明らかな動揺が、ひしひしと感じられた。 俺でもわかる。 これはよくない状況だ。 郁「……っ!  カイザー先生…」 優「あまり喋るな  傷口に響くぞ」     
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