第15章

26/71
前へ
/621ページ
次へ
郁が顔を両手で覆い、後ろに倒れた。 郁の頭を支えた枕が、ポスリと音をたてた。 臣「……だよな」 同じように兄貴も後ろへ倒れる。 しかし、顔は覆っていなかった。 中を睨むように、どこか遠くを見つめる。 郁「どれだけの力を蓄えても、これまでとは…  魔力差がありすぎる」 臣「堕ちても神だからな」 我慢できなかったかのように、兄貴が笑みをこぼした。 それに、郁も口許だけで笑みを作る。 ついていけない話に、また壁を感じた。 それを表情に出してしまっていたのか、隣にいた千里の軽く叩かれる。 励ましているつもりなのだろうか。 千「郁、臣  まだ、全てを俺たちには話せませんか?」 ピクリと郁の腕が動いた。 何時の間にか治療は終わっていたのか、魔力の流れは消えていた。
/621ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4653人が本棚に入れています
本棚に追加