第15章

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千「避けろ!」 その声が聞こえたと思った時にはもう、何かが目の前に迫っていた。 あぁ、これは死ぬのだと単純に思った。 人は死ぬ時に、これまでの記憶がフラッシュバックするらしい。 頭の中を流れる写真の様なもの。 たくさんの顔が浮かんでは消えていく。 これが走馬灯というものか。 その中でも何度も頭に蘇るもの。 その声も、瞳も、仕種も、温もりも。 全てが愛おしい。 瞳を瞑りかけた時、生々しい肉を割く音が耳の奥に残った。 しかし、痛みはない。 体を触ってみるが、どこにも傷などない。 ジワリジワリと不安が湧きあがる。 この魔力が此処で感じられるはずがない。 どうして、此処に。 どうして。 潤「郁っ!!」 呉「臣っ!!」 何故、目の前に郁がいる。            
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