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潤目線
郁たちの体が崩れ落ちる。
郁の白い魔剣のローブは恐ろしいほど赤く染まっていた。
潤「郁っ、兄貴!」
結界に近づくが、そこから先へ進めない。
拳がドンっと結界にぶつかった。
マーブル模様の結界は、まだ郁たちに息がある証。
魔法の発動者が死んだ場合、その魔法はたちまちかき消える。
一般人の常識を郁らに適応しても大丈夫なのかは分からないが、そうであるはずだ。
潤「郁、魔法を解いてくれ!!」
何度も何度もたたくが、結界はびくともしない。
それもそのはずだ。
あの夥しい量の矢を防ぐために作られたものなのだから。
チラリと黒の時計を見る。
次の戦いまで、30分ほどしかなかった。
こんな状態で、次が戦える筈がない。
潤「郁っ!」
皆で叫び、結界を叩く。
すると、ズルリと郁の体が動きだした。
郁「……ごほっ…」
体を引き摺るようにして、兄貴の方に近づく。
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