第15章

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千「鷺ノ宮っ!  しっかりしろ!!」 痛みと怒声に、ハッと意識を戻せば、他のメンバーは郁たちの治療にあたっていた。 零と劉矢とカイルは郁を治療する優和のサポート。 レオンと呉羽と千鶴はカリシュアルの治療班の人のサポート。 何もせずに突っ立っているのは、俺だけだった。 今になって、叩かれた頬が痛む。 そうだ。 こんな風に呆けている場合ではないんだ。 郁のもとに駆け寄る。 弱弱しい息遣いに、胸が苦しくなる。 そっと、手を取れば、軽く力を込められる。 その弱さが、辛かった。 郁「せんぱ……」 優「喋るな!」 郁「…っ、せんぱい……」 吐息の様な声を聞き洩らさないように、耳を近づける。 途切れ途切れの声は、弱弱しく空気を振動させる。 郁「次は…あと…どれくらいですか…?」          
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