第15章

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潤「もう、20分を切っている  心配しなくていい、それよりも傷を…!」 郁は微かにだが、首を振る。 その瞳は柔らかく、全てを包み込むように暖かであった。 それが自棄に引っ掛かった。 郁「…ごほっ……千里は…?」 千「ここにいます、郁」 俺の反対側に千里は位置どり、郁に耳を傾ける。 その背後に兄貴が見えた。 必死に涙を瞳に溜める呉羽の姿も見える。 兄貴の黒い服に血は目立たないが、それでもかなりの出血量であることをその下に敷かれているシーツが物語っていた。 郁「…頼みたいことが……ある」 千「何でも言ってください」 千里の返事を聞くなり、郁は微かにほほ笑み俺に握られていない方の手を微かに上げた。 そこに光が集まり、形を形成していく。 それは戦いが始まる前に、郁が首から下げていたネックレス。 魔武器、魔剣だった。 郁「…後のことを頼む……」 それをゆっくりと千里の首にかける。 目を見開いた千里は、驚きでそれに反応できないようだった。         
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