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潤「もう、20分を切っている
心配しなくていい、それよりも傷を…!」
郁は微かにだが、首を振る。
その瞳は柔らかく、全てを包み込むように暖かであった。
それが自棄に引っ掛かった。
郁「…ごほっ……千里は…?」
千「ここにいます、郁」
俺の反対側に千里は位置どり、郁に耳を傾ける。
その背後に兄貴が見えた。
必死に涙を瞳に溜める呉羽の姿も見える。
兄貴の黒い服に血は目立たないが、それでもかなりの出血量であることをその下に敷かれているシーツが物語っていた。
郁「…頼みたいことが……ある」
千「何でも言ってください」
千里の返事を聞くなり、郁は微かにほほ笑み俺に握られていない方の手を微かに上げた。
そこに光が集まり、形を形成していく。
それは戦いが始まる前に、郁が首から下げていたネックレス。
魔武器、魔剣だった。
郁「…後のことを頼む……」
それをゆっくりと千里の首にかける。
目を見開いた千里は、驚きでそれに反応できないようだった。
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