第15章

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ルシファーの時のように棘は付いていない。 先輩の体を軽く押す。 とびきりの笑顔をあなたに。 覚えていてほしいから。 郁「…臣…先に行く……」 蔦が何本にも分かれ、俺を抱き上げる。 そして、白の大木の方に連れていく。 潤「郁っ!!」 手を握りしめられた。 それに留められる。 けれど、けして乱暴ではないけれど、確実に連れて行こうとする蔦に手がじりじりと離れる。 生きていたいと。 あなたの隣にいたいと。 一度願ってしまえば止まらなかった。 けれど、何よりもあなたが大切だから。 あなたを守りたかった。 あなたが泣いてくれる。 あなたの泣き顔は見たくなかったけれど、俺が離れることを悲しんでくれるのだと思ったら、不謹慎ながらも嬉しかった。           
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